動脈管開存症
胎子期に母体の中で、まだ機能していない肺の代わりに、肺動脈から大動脈へ血液を運ぶ血管の事を「動脈管」と呼びます。この動脈管は通常、子犬が誕生してからおよそ1週間以内に閉じて機能しなくなりますが、これがなんらかの異常で閉じずに残ってしまう事を動脈管開存症といいます。
特にコリー、シェトランド・シープドック、ジャーマン・シェパード・ドッグ、シベリアン・ハスキー、プードル、ポメラニアン、マルチーズ、ヨークシャー・テリアなどがかかりやすい犬種と言われています。
動脈管開存症の原因
先天性によるものが最も多いとされています。
動脈管開存症の症状
症状が軽い場合は、5〜6歳になるまで目立った症状は見られず、その後、呼吸困難や貧血、運動能力の低下などの症状が表れる場合があります。また、聴診により心雑音が確認できます。
重症の場合には生後1〜2ヶ月で重い呼吸困難や体力の消失、食欲不振などを起こし、発育不全などがみられます。
動脈管開存症の治療
動脈管開存症の治療には外科的療法が必要となります。動脈管を閉鎖させる手術や、心臓カテーテルなどによって動脈管を閉塞させる治療などを行います。
血液が逆流している場合は、動脈管を閉鎖することによって右心不全を併発し死亡してしまうケースもあるため手術は出来ません。その場合は、犬を安静にさせ食事療法や投薬など内科的療法を行います。
動脈管開存症の予防
早期に外科的手術を受けた方が術後の合併症が少ないと言われていますので、早期発見・早期治療が重要となります。また遺伝性が強い疾患なので、兆候が見られる犬の交配は避けるようにしましょう。